曲聴きながらイメージSS・2

【つめたいほし】 /midnight

透明な黒に塗り込められた空を、一筋の光が滑り落ちた。

―――今、君の願い事は何?

僕はもう、流れ星には祈らないよ。

消えないでと願った君が、もう隣にいないから。

――――ああいかないでくれよ 消えないでくれ』

*

【ねーママ】 /狐面の男

「本当に神様がいるなら、」

路傍の少女が、ささやかな問いかけを、誰に向けるでもなく呟く。

「あたしのことを助けに来てくれるかな」

人気の無い路地、群青の闇が微風のような声でそれに答える。

「『神様』は水面に落ちた白鳥の羽根のようなものさ。

鳥が捨てていった安っぽい白い羽根にすら、水底の汚泥でもがく僕らは触れることも叶わない」

「じゃあ、あなたが助けて。あたしを助けて。そこにいるなら」

闇は答えない。

少女の唇に止まっていた夜蛾が、音も無く地に落ちた。

――――金で買うガキの股見過ごす俺が歌ってるんだ』

*

【渦】 /master

何に怯えてるの。

ひび割れた窓ガラスに映った僕の影が笑う。

空っぽの自分が怖いのかい?

――――満たないから手を伸ばしたって無駄さ 届かないよ』

2009/5/20
一曲聞いてる間にひとつのSSを仕上げる、という試み。ペグマで3/1000篇。