透き通った和毛に白い霜が降りて、固く張り詰めて青ざめた顔はまるで僕に似ていない。
ガラスカバーの向こうから温もりは伝わらない。
黒に群青を塗り重ねた夜の中で今日もひとりレトルトカレーを食べる。
空はまだ暗い。
モニターにランダムな線を描く機械に寄りかかり今日の出来事を報告。
声は次第に小さく擦れ、零れた涙声が膝の上にちいさく丸い染みを作った。
泣いてごめんなさい。強くなくてごめんなさい。大空を飛び回る少年型ロボットのようになれない僕を叱ってよ、暖かく力強い声で。
朝はまだ来ない。
3倍速で移り変わる時代を伏し目でやり過ごして、少年は夜明けを待つ。
明るい未来はすぐそこで手を振っている。真新しいボールとグローブを携えて笑ってる。きっと。
『よし、やるか!キャッチボール!』