改めて見ると、本当に綺麗だよな、お前って。
「そんなに見つめるなよ、照れる」
いや、お世辞じゃなく。
お前は気付いてなかったかもしれないけど、俺、結構お前に見とれてる事多かったんだぜ?
ええっと……雪のように白い肌、血のように赤い唇、黒檀のように黒い髪……だっけ。
お前見てこのフレーズが……一体何の……あ、そうか。白雪姫だ。今思い出した。
「……よりによってその例えは無いだろ」
男に白雪姫は無いかー。
ガキの頃読んで、印象強いんだよね、あれ。内容が結構トラウマでさ。
「トラウマ?普通の童話じゃないか」
初めて読んだのが元々のグリム童話でさ。
物語の最初の部分、お妃が白雪姫を城から追い出すだろ?
それでさ、家来に命令するんだよ。「殺した証拠として、姫の肝臓を持ってこい」って。
で、家来が持ち帰った肝臓、どうすると思う?
……食ったんだよ。塩茹でにして。
まあ、実は家来は白雪姫を殺してなくて、肝臓は猪だか鹿だかの肝臓だったんだけどな。
「ぞっとしない話だ」
なー、女って皆そんなもんなのかな?
食べちゃいたいほどカワイイ、ってやつ?
「いや、それはそういう意味じゃ…」
俺なら食べないけどなー。だってこんなに綺麗なんだぜ、お前の肝臓。
俺中身に興味ないって言ったけど、お前のは別だな。全部取っておきたい。
ほら……お前の腹膜、繊細なレースみたいだろ?肋骨の中で痙攣してる心臓なんて、まだ生きて脈打ってるみたいだ。
なあ、お前も見てみろよ。
「 」
あ、無理か。先に目玉抜いちゃったもんな。