スケッチブックに描いた、たくさんの丸。
シャボン玉のようにふわふわと。
そして弾けた。屋根までも飛ばず。
「そういうの、なんて言うか知ってます?
……向いてない、って言うんですよ」
知ってたさ、とうの昔に。
でも、ほら、こんなに綺麗に描けた。
心にぽっかり、大きな丸。
25時過ぎの公園、たったひとりでワルツを踊る。
くるくるくる、円を描いて、掌に冷たい結晶を掬って。
「さあ、もう疲れたでしょう」
もう、夜明けに怯えることは無い。
胸に誇りを抱き、絵描きは眠る。
草臥れた身体を、安らかな闇に委ねて。
「おやすみなさい、良い夢を」