曲聴きながらイメージSS・1

【Sonic Disorder】 /地下6階の囚人

身体が凍えて、初めて

人の温もりを知った気がする。

もう少し、隣にいてくれないか。

触れ合えずとも、どうか、近くに。

――――君の胸に抱かれたなら少しは安らかに眠れるかな

*

【変態】 /虫喰い

眉間にしわが寄り、丸めた背中に意識を注ぐように体が強張る。

荒い息と蠕動、体液を送りこまれ、痩せた体の上で花が開くように、ビビッドカラーの翼が広がる。

「……何の翅か知ってる?」

首を振る。

「実は、俺も知らないんだ」

名も知らぬ南国の蝶。都会の空へ消えた。

――――サナギは蝶になった そのまま飛んで消えた

*

【タクシードライバー・ブラインドネス】 /conte

カメラが回っていない間、彼は大体眠っている。

深い眠りと、まどろみの間を行き来しながら、深層を探る旅をする。

君の中まで、僕は追いかけて行けないから、ここで君の帰りを待っているよ。いつまでも。

――――昨日見た夢にそんなタイトルをつけた

2009/5/13
一曲聞いてる間にひとつのSSを仕上げる、という試み。シロップ篇。