悪魔のスイーツ

「成程、それが君の願いだね」

 悪魔さんの言葉に、わたしは頷きました。

 といっても、私の形では頷くというより、震えたと言った方が正しかったかもしれません。

「お安い御用だ」

 そう言うと悪魔さんは、背中の大きくて真っ黒な羽を広げ、その両手から立ち上る炎をじっと見つめているうちに、気がつくとわたしは、人間になっていたのです。

おや、お久しぶりです。

あなたに会うのは1年ぶりでしょうか。

―――はじめまして?

いやいや、そんなはずはありません。

私、記憶力には自信あるんです。

その証拠に、あなたと交わした会話もしっかり覚えているんですよ?

『世界一悲しいお好み焼き』

思い出してくれましたか?

あれは失敗でしたねぇ……塩味が効き過ぎた。

なので次は世界一悲しいスパゲッティー……

と、思ったのですが。

主食ばかり続くのも、と思いましてね?

今度はデザートに挑戦したんですよ。

最近流行ってるじゃないですか、

『塩キャラメル』とか『塩アイス』とか。

だから、私も。

『世界一悲しいプリンア・ラ・モード』

これはいいアイデアでしょう!

肝心の味ですが……

思ったとおり、塩味がカスタードの甘さを引き立てて、今回こそ大成功!

……と、言いたいところですが。

こんどはちょっと、カラメルソースの苦味が効き過ぎました……

夜に考えたアイデアは、昼間もう一度練り直すべきです。

あなたも気をつけてくださいね?

深夜のテンションで、大事なメールなど書かないように。

さて、余談はこのくらいにして……

もう一度、改めて訊きましょう。

あなたの願い事は、なんですか?

2008/8/10
まさかのコラボ。出て微妙に留まると書く男。たぶん。