地下年表

※以下の文章は「地下6階の囚人」「3/1000」「白薔薇とメイド」のネタバレを含みます。

 

 

 

『背景』

近代ヨーロッパとかそんなイメージ。

人間と、妖魔みたいな向こう側の住人(以下妖魔と表記)がお互いの存在をある程度受け入れている世界。

一部、妖魔嫌いの人間や人間嫌いの妖魔もいたが、時々衝突する程度。

バランスと距離を保ちつつ、それぞれの生活圏で生きていた。

が、産業が急速に成長し、その影響かイニシアチブを取っていた宗教が権威を落とす。

教会側が権威復興のため打ち出したのが「妖魔狩り」

今まで人間側に害を及ぼした妖魔を牽制する程度だったのが、傘下の近郊貴族も駆り出して、とにかく力のあるなしに関わらずやったらめったら狩り始める。

妖魔側も、黙っていられないと人間に敵対する者、人間に理解を働きかけようとする者と方針はみんなばらばら。

(そもそも誰か一人の王の下に統一されていた訳ではないし、連帯感もない)

人間も人間で意見が割れ始める。貧富の差が広がったことも手伝ってか、急激に治安が悪化するなど、情勢は不安定に。

『バルテルミー』

炎の様な赤い髪に赤い翼、山羊の角、金色の瞳の妖魔。

変身能力に長ける。成人男性、少女、狼、梟などの姿に化ける。

人前に立つ時は貴族の身なりをした男性の姿であることが多い。

バルテルミーはもともと人間には友好的だった。

若い頃は積極的に文化に触れたり、妖魔だけでなく人間の友人も多かった。

妖魔としての位はそこそこ上。力で働きかけるより、うまく立ち回って地位を築いた。

老成してからは人間とも妖魔とも一定の距離を置いて、身の回りの世話をするもの数人と、森の奥の湖中に建つ古城に住んでいた。

『クラウス』

直系ではないが、バルテルミーの血縁者。人間の血も混じっている。

力はそれほど強くない。中の下かそれ以下。

バルテルミーの元に来る前は人間の世界で生活していたためか、妖魔より人間の方により強い親しみを覚えていたようだ。

『アロイス』

クラウスに懐いていた黒猫。

特別な能力はない、ごく普通の野良。

クラウスが愛読していた物語の登場人物の名が由来らしい。

『バルテルミーとクラウスの関係』

親戚というよりは主従関係に近い。

二人の性格上、なれ合いの気は強かっただろうが。

しかし、クラウスはバルテルミーには絶対に逆らえなかったし、いつも監視下に置かれているという窮屈さはあったかもしれない。

『離反』

人間の側にいたことが災いしてか、クラウスがとある貴族に捕らえられてしまう。

こうなるとバルテルミーとしても黙ってはいられない。が、なるべくなら事を穏便に済ませたい。

数人の召使を連れ、クラウスを助けに向かう。

が、それは貴族側の罠だった。

クラウスは「ある条件」と引き換えにバルテルミーを売り渡した。

バルテルミーは抵抗むなしく陥落、幽閉されることになる。

ここで激しく抵抗したことが祟り、翼と角を奪われる(単に具現できないだけかもしれない)

危険だということで現在の力量には不相応なくらい厳重に閉じ込められることになった。

共に救出に向かった召使の生死は不明。

『ある条件』

人間として生きる証明。住民票のようなもの?

貴族の後ろ盾があれば危なげなく生きていくことができるし、バルテルミーの支配からも逃れられる。

クラウスは心の隙に付け込まれ、挙句、身内を裏切ってしまった。

晴れて自由の身になったにもかかわらず、彼は何処かへ姿を消した。

以降、クラウスという名の男が表舞台に現れることはない。

『メイド』

バルテルミーの城に勤めていた若いメイドのリタ。

彼女は、額に角のような瘤があるものの、城内で唯一の純粋な人間だった。

バルテルミーが捕らわれた後、彼女を含む召使達は皆城を追われ、散り散りになる。

リタは城のある森近くの村に住むことになり、そこで農民の青年と結婚し、子をなした。

時は流れ。

夫と死別し、子どもたちはとうにリタの手を離れ、もうすぐ5人目の孫が生まれる。

ありあまる時間を、リタはかつての家である、廃墟に変わった城で過ごすことが多くなった。

ある日、リタは城の庭で、今にも咲きそうな白い薔薇の蕾を見つける。

2010/2/17
前に書いた設定話を加筆修正したもの。自分用なので雑……
合間合間にいろいろあるわけですが、ざーっと書くとこんな感じです。