明日は快晴

圭太の作ったてるてる坊主の努力も空しく、今日は雨。 今日も雨。

「そろそろ神様も雨降らしに飽きてくれていいんじゃねーのかぁー?」

住人達の洗濯物を部屋中に張り巡らした紐に干しながら、久保はため息交じりにつぶやいた。

窓の結露を指でなぞり、おそらく猫と思われる四つ足の物体を描いていた昴が振り返る。

「あめって、かみさまがふらすの?」

「さあ、俺は神様んちのことはよく知らないけど、空の上から降ってるんだから、たぶん神様が降らせてるんじゃない?」

「かみさまのともだちかもしんないよ?」

「ん、あー、そうかもな」

洗濯機に残った洗濯物を誰の部屋に干そうか思案しながら、ついおざなりな返事を返す。

昴は黙って、再び窓の方を向き、猫の隣に別な絵を描き始めた。

久保ははっとして、洗濯物を干す手を止めて、黙々と窓に絵を描く昴を見つめた。推定猫の体から水滴が流れおち、猫は見る間に血まみれ、無残な姿へ変わる。

「……なぁ、昴」

「んー?」

「雨が止んだら、どっか連れてってやるよ。どこ行きたい?」

昴は振り返り、太陽のように笑った。

「あめのふらないところを さがしにいこうよ!」

2010/1/21